自分たちらしい 家づくりを求めて
次に私がしなければならなかったことは、「小林建設はどのような家づくりをしていくのか」を明確に打ち出すことでした。会社周辺には、父や祖父の建てた家がずらりと並んでいます。しかし、これまでのお客様を大事にケアする一方で、これから家を建てようとする世代のための家づくりを考えなくては行き詰ってしまうと、私は思いました。
それからは様々な模索をしました。時代の流れだからと、ローコスト住宅にチャレンジしようとしたこともあります。ところが、これは大工たちがまるで受け付けませんでした。いや、しようとするのですが、体がそのように動かないのです。長年の習慣というのはこわいもので、「ここは釘2本で大丈夫」と言われても「いや、やはり怖いから4本打っておこう」となってしまい、ローコストにならない上に、大工の方にもストレスがたまってしまうばかり。そんな時、ほとんど偶然のように出会ったのが「夢ハウス」だったのです。
たまたま会社に届いていた1枚のFAX。それに今若専務とともに出かけた私は「これだ」と思いました。「夢ハウス」の赤塚幹夫社長も、もと大工。めざしているのは本物の木を使った、手を抜かない家づくりでした。そして、賛同するビジネスパートナーを増やすことなどで、材料を安く仕入れ、お客様の負担を減らそうとしていました。
「自分たちがしてきたことが、ここでなら活かせる」。そう思って今若専務を見ると、私と同じようなことを考えているなとわかりました。私たちの前にいま灯りが点った。そう感じた瞬間でした。
|